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賢治のほほえみ

賢治生誕百周年の年に私は家族と岩手に移住した。1996年のこと。その年、まだ東京に居た頃、NHKで短い賢治ドラマが4回連続で放映された。その時の鮮烈な印象が、16年の時を経てもまだ私の記憶の中にずっとある。もう二度と見ることはないだろうと思っていたのだが、NHKのアーカイブにあることが数年前にわかった。それをどうしても見たくて、スプリングスクールを終えた翌日、ひとり東京へ向かった。
検索して「賢治のほほえみー森を探しにー」という作品だということがわかった。主演はつみきみほ。よだかの星に賢治が込めた世界が、現代の都会の学習塾を舞台に出現する。ひととうまく関わることができず、恋人も友達もいない孤独な若い女教師と、ゲームセンターでゲットしたぬいぐるみを廃墟となったビルの屋上に配置して自分だけの居場所(アジールのような)を築く小学生の女の子が出会うお話。教師ははじめ気づかない。自分が何をしているのかを。少女に、先生は子どもをたくさん傷つけているんだよと突きつけられて初めて鏡の中の自分の像を覗き込む。そんなことじゃ合格できないよと脅しながらどれほど子どもたちを追い込んできたのかを。
廃ビルの屋上の片隅に引きこもった女の子に女教師が手をさしのべる場面は秀逸だ。自分の身につけたよろいを脱いで、恥も外聞もなく素のままで子どもと向きあおうとする。差し伸べた手にその女の子が恐る恐る小さな手を震えるようにのばす。暖かいね。体温が心に伝わる…。

このドラマのあらすじはもうほとんど忘れかけていた。ぞっとするほどの都会の孤独感とよだかの星が重なっていたことだけが茫漠と像をなさないまま私の記憶の底に深くしまいこまれていた。
でも再度見てよくわかった。39歳の私が何故、森と風のがっこうを創ろうとあの頃思ったのか。何故、お勉強の学校ではなく、遊びのがっこうを創ろうと思ったのか。偉人としての賢治ではなく同時代人としての賢治になぜ激しく揺さぶられたのか。
このドラマは4作シリーズで、セロ弾きのゴーシュ、風の又三郎、銀河鉄道の夜をそれぞれの回の主旋律として物語が展開される。どれも興味ふかい。涙なしには見られない。ぜひNHK各局のアーカイブで視聴してみて欲しい。なんと2時間無料だ。
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