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森の影絵劇場

ずいぶん涼しくなってきた。夏ももう終わるけど、影絵のこと以下に書きます。

「世界こびとサミット」の開幕!と子どもたちの大きな声で物語の始まりが告げられる。世界各地からこびとの代表がここ森と風のがっこうに集まって来たのだ。20のこびとたちは全部キャラクターが異なる。性格も特技も、好きなものも嫌いなものもてんで異なるから特技の見せ合い合戦が始まるとさあたいへん。物語はすべて即興。子どもたちが自由にセリフを語り出し、言葉をかけ合い、飛んだり踊ったり…。子どもたちと開催したサマースクールのひとコマである。

森と風のがっこうでは、影絵を子どもたちと自作して上演することが多い。夜の森の中にスクリーンを張って、客席を作ってやるのだ。夏だけではない。春も、秋も、そして氷に閉ざされる冬にも。
こんなにも私や子どもたちが影絵に魅入られてしまったのには訳がある。それは昨年夏のこと。就学前の子どもたちやお父さんお母さんたちとここでお泊まり会をやったことがあった。その時初めて影絵に挑戦した。森の中にたたずむ経験をしたことのない子どもたちや親御さんたちとどうしたら長い時間居られるかを考えた。だいたい小さな子どもたちは夜の森の中には怖くて入れないのではないかとも考えた。一日中森の中で遊んで、夕方になった頃、会場を設営。
子どもたちはそれぞれに自作した影絵(森の中にいる、人間ではない空想上の生き物)を持ってスタンバイ。スクリーンの後ろに置いた電球が灯った瞬間、おおーっとみんながざわめいた。黄赤色がかった何ともあたたかみのあるほのかな色に白布が染まったからだ。電球ってこんなに懐かしい色をしていたんだっけ。とっぷり日も暮れた頃。いよいよ即興の影絵劇の上演だ。
子どもたちの影絵がスクリーンに映った瞬間、今度は観ていたひと全員からうわーっとどよめきが広がった。色画用紙で作ったこびとの輪郭がなんともほのかに揺れるようにぼんやりと浮き出たからだ。それに色がにじむように投影されている。あの画用紙の色がちゃんと出てる。これは私もまったく予想できなかった。しかも、少しひんやりとした空気があたりを流れ、いつのまにか周囲の森は青い闇に変わっている。幻想的な雰囲気に、その場に居合わせた子どももおとなもみんなが酔いしれた。怖いから帰ると言った子どもたちは誰もいなかった。2歳児も3歳児もいたのに。

影絵劇は私の子ども時代からあった。でも、劇場のビルや体育館の暗幕の中で観る劇は自分にとってはどこか異質なものだった。暗い怖さがどこかにあったのかもしれない。
でも、もしかしたら私の認識を大きく変えたのは、?年、おとなになって行った名古屋デザイン博覧会の会場でのことだったかもしれない。すさまじい人混みの有名パビリオンの脇に、ひっそりと建つチェコスロバキア館に入ってみた。するとそこは予想に反して巨大な影絵ドームだった。中心に水の池があって水の中に立つ柱やオブジェの影がゆらゆらと周囲の壁に影絵となって投影されていた。その時の自分の身体深く揺さぶられるような何かを私は今も忘れることが出来ない。その場に佇むことの中で立ち上ってくる感じ、何か大きく包まれているようなやすらぎのようなものをその時感じた。影絵を森の中でやってみたいと思った原点はこんな体験にあるのかもしれない。

子どもがすこやかに育っていくためには光だけではない。影も闇も必要である。
「夜の心の暗闇から、夢は湧いてくる。さめても夢は消えはしない。」(谷川俊太郎「おはようの朝」)
ひとが生まれて来た始原のいのちが宿るところは深い森の中にあるような気がする。
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